STORY
2017年4月、英国ファッション協議会とVOGUEによって、その年の英国最優秀新人デザイナーに選ばれたエイミー・パウニーは、賞金の10万ポンドで《Mother of
Pearl》をサステナブルなブランドへと変えることを決意する。
当時ファッション業界は大量消費の真っ只中で、サステナビリティはニッチなトピックだった。
原材料から製造過程まで、すべてにおいてサステナブルなコレクションは、「No
Frills(飾りは要らない)」と名づけられる。コレクションの発表は、2018年9月のロンドン・ファッション・ウィーク。準備期間はわずか18ヶ月!
理想の原材料を求めて、ヨーロッパの裏側、ウルグアイ行き着いたエイミーと商品担当のクロエ。そこで、理想的な環境の羊毛業者に出会う。責任者のペドロの人柄と誠実さにすっかり魅了された二人は、ペドロの羊毛を扱う紡績工場探しに奔走する!
やっとペルーの会社が見つかり、デザインを始めるエイミー。しかし、発表まであと3ヶ月のところで、ペルーの会社が降りるという連絡が入る。クロエは必死に引き留めるが……果たして、無事にコレクションは発表できるのか?
COMMENTS
〈順不同〉
徹底した信念が業界を、社会を動かす。
エイミー・パウニーの生き方そのものが、
ファッションの「今」を物語っている。
篠原ともえ さん
デザイナー/アーティスト
ファッションを仕事にする人も実は知らない
「服が誕生するまで」の真実。
見れば、今着ているその服に愛着がわいてくる。
向千鶴 さん
WWDJAPAN編集統括サステナビリティ・ディレクター
着ている服が何カ国を渡り歩いて出来たのか、
セーターならどんな羊の毛なのか…
考えたことありますか?
すぐに全てを変えられないけど、知る大切さ。
今年で一番タメになった
地球とファッションへの愛が詰まった一本です。
LiLiCo さん
映画コメンテーター
デザイナーの志がシャトルとなり、生産者の想いと織り上げていく。
美しく清々しい素材の調達ロードムービー。
ファッションの社会的・環境的課題を扱いつつ、主人公の姿勢に勇気をもらえるお仕事ムービーとしても秀逸!
鈴木啓美 さん
ピープルツリー広報・啓発担当
誇りを持って語れるサプライチェーンを構築する
大変さ、おもしろさをたっぷり感じられる100分。
服に携わる仕事をしている人は共感の連続だろうし、
服を着ているすべての人は、
自分の手元に届くまでの果てしないプロセスに驚くかもしれない、
ぜひ見てほしいです。
鎌田安里紗 さん
一般社団法人unisteps共同代表理事
目を瞑っていた課題と、ついに向き合うチャンスをくれる映画。
サスティナブルや動物愛護について考えるスタートになった。
山内マリコ さん
小説家
この映画を観た前と後だと服の買い方、選び方はきっと変わるだろう。
「何を着るかはどう生きるか」だとしたら、この映画があなたの人生のターニングポイントになるかもしれない。
シトウレイ さん
フォトグラファー/ジャーナリスト
服がつくられる過程を遡って追っていく。
トレーサブルな原材料を探し求める途方もない冒険の記録。
ファッション界では異端者扱いだったエイミーが
共感しあえる生産者たちと出会い
理想の素材での服作りを叶えていく。
エイミーの表情がどんどん自信に満ちていくのも印象的。
サステナビリティへの関心は高まりつつあるが、
より深刻さを増している気候危機に直面している今、
すべてのつくり手・消費者の意識の変革が急がれると思った。
美しい哲学を持った素材は美しい風景のなかから生まれるのだと感じた。
西淑 さん
イラストレーター/画家
生きとし生けるもの、森羅万象、人類。
地球という奇跡の星、愛の存在の中でわたしたちは生かされているのだということを、一から考え直さなくてはならないと痛感させられる映画です。
さまざまな過酷な状況を作ってしまったのがまた人類であるということも。
あたりまえになってしまったことを紐解き、その原点を見つめ直すための探求、そのブレない意思が素晴らし過ぎて胸を打たれました。
これから一人ひとりに何ができるのかと、真剣に考えさせられ、すぐにでも行動に移さなくてはと居ても立ってもいられなくなる映画でもあります。
特に素晴らしいのはドキュメンタリーとは思えないストーリーの組み立て方と臨場感、そして映像の美しさ。
ファッションという、流行の中で消費され、知らずしらずのうちに自然破壊をして来たわたしたちの意識にやっと変化が訪れている。
たくさんの人々がそれに気づき行動を起こすきっかけになって欲しいと心から願います。
安野ともこ さん
スタイリスト/デザイナー
近年の感動した映画とは比べものにならないほど泣きました。
ファッション業界の地球環境への悪影響はすでに知っている事が多かったのでうなずくばかりでしたが、エイミーがパパから言われた言葉『無関心で何もしないのは間違っている。お前は行動を起こした!』。これは、私が亡き母から世界で一番言われたかった言葉だったと、泣きながら気がつきました。サスティナブルなんて言葉のない私の幼い頃、思春期も、ずっと私たち兄弟妹に教えてくれた偉大なる母から、私が大人になってTHINKSという活動や仕事をしている姿を見て欲しかったんだ、と気がつきました。
又、私が活動を始めたころに自分に問いかけた言葉と同じ『変人に見えるのかも』。キャサリンの言葉『Never give up!』。エイミーのママから贈られた詩の一節『スタイリッシュに地球を救おう!』は、まさに私がTHINKSを始めた時の思いと重なりました。
そして最後に大泣きしてしまったシーンは、ペドロとサラたちがロンドンを訪れた時にペドロが優しい声で言った『天然素材を求めてうちにデザイナーが訪ねてきた。とても幸せな気持ちだった』というなんて幸せな言葉。
空を見上げて半分笑顔でこんなに泣くなんて、私は自分でびっくりしてしまいました。
たくさんの人に見て欲しいって思いました。ありがとうございました!
石井なお子 さん
クリエイティブディレクター/スタイリスト