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Anime Expo現地レポート 日本アニメの海外展開は今

概要

このコラムでは、Anime Expo 2024における現地レポートを通じて、日本アニメの海外展開の現状と今後の展望について詳しく掘り下げます。エンタメ関連の実績が強みである株式会社フラッグの視点で、フラッグ代表の久保から、アニメ業界のトレンドや感じた課題をご紹介します。

Anime Expoとは?

Anime Expoは、ロサンゼルスで毎年開催される北米最大の日本アニメコンベンションです。2023年には4日間で39万人が参加し、2024年も多くのアニメファンと企業が集いました。

日本のイベント(Anime Japanやコミケ)と比較して、ファン参加型のトークショーやパネル、ワークショップが多く、よりインタラクティブな要素が強いのが特徴です。今年は中国のスマホゲームやbilibili動画も出展していました。

人気声優や監督、プロデューサー等によるパネルやワークショップなども多数行われており、多くのアニメファンが集まり賑わっていました。

参加企業の目的

Anime Expoに参加する企業の主な目的は、作品やIPの知名度向上、海外向けセールスの商談、そして情報交換です。多くの日本アニメ企業がブースを出展し、北米のユーザーに向けて積極的に情報発信を行っていました。

特に、大規模なブースを設けていたアニプレックスやバンダイナムコ、東映アニメーションなどは、現地ファンから大きな注目を集めていました。商談や情報交換も活発に行われ、業界関係者にとっても重要なネットワーキングの場となっています。会場隣にあるホテルのラウンジでは、商談や情報交換が活発に行われていました。

近年の傾向

来場者数と出展社数の増加

近年のAnime Expoでは、来場者数と出展者数の増加が続いています。特に2023年には来場者が多すぎて大混雑したため、2024年は入場規制が行われました。来場者数は10年間でおよそ2倍に増加し、会場は常に大混雑しています。

日本のアニメ主要企業は軒並み出展

日本の主要アニメスタジオは軒並み出展しており、各社とも海外展開をいかに重視しているかが見て取れます。他には、アニメイト、ブシロード、フリュー、グッスマなどのアニメ系のマーチャンダイズやリテール関連企業や、政府関係機関のJETRO、日本以外の企業だとアメリカのジャパンアニメーション系企業やゲーム企業も出展していました。

すこし気になったのはグッズ販売のエリア。どこにでもあるようなグッズやフィギュアの取り扱いが多く少々雑な印象だったので、ここを整理すればブースの出展余地はあるのではないかと思います。

アニプレックス
東映アニメーション
TOHOアニメーション
ポニーキャニオン
セガ、アトラス
クランチロール
ぐんまちゃん

情報発信の場としてイベントを活用

多くの企業が、Anime Expoを情報発信の場として活用しています。作品情報の発表やプレミア上映を行い、Anime Expoで全世界向けに情報解禁を行うなど、パブリシティでの活用が増加しています。

所感

ビッグIPが人気

「ONE PIECE」 「ドラゴンボール」 「鬼滅の刃」 「呪術廻戦」などのビッグIPのコスプレやブースが特に人気で、日本よりもストレートにビッグIPを愛するファンが多い印象です。これらの作品が海外でも非常に強い支持を受けているなと現地で改めて感じました。

参加者はかなり多様

参加者は若者中心ですが、人種は多様です。コスプレ衣装の参加者も多く、ライトなファンも以前より増加した印象です。アニメ好きな大人は確実に増加しており、内なる子ども心を満たす行為への共感が、アメリカでも広がっていることを実感しました。

日本からの業界人が多数参加

ブースを出展していない企業からも多数参加しており、映画会社、テレビ局、広告代理店などの多くの知り合いと現地で会いました。会場横のマリオットホテルのラウンジは、商談中の日本からの業界人たちで埋まってました。

改めて日本アニメの市場について

アニメの輸出が増加

過去10年間で、日本のコンテンツ輸出額は約3倍に成長しましたが、その中でもアニメの成長が際立っています。アニメの輸出額は約5倍、特に急速な成長を遂げています。輸出の絶対額ではゲームの方が大きいものの、成長率はアニメが高いです。

00年代に北米での日本アニメ市場は拡大しましたが、リーマンショックやディスクビジネスの減退により市場規模は縮小しました。しかし、近年再び成長を見せています。

アニメ市場の成長は海外が牽引

過去10年間で、日本のアニメ市場は約1.8倍に成長しましたが、この成長は主に海外市場が牽引しています。国内市場は増減を繰り返しながらも、全体的にはあまり成長していません。

しかし、ドル建てでは2022年時点で前年比マイナスとなっており、コロナ禍後の継続成長が可能かどうか、今まさに試されています。

国内市場の売上の約1/4はアニメ自体の売上で、残りの収益は関連商品(マーチャンダイズなど)によるものです。これにより、アニメ関連ビジネスの多様性と収益構造が見えてきます。

現地で感じた課題

市場が飽和状態への危機感

日本アニメへの需要は依然として高まり続けていますが、各社は収入の中心である配信権料の伸びに対する危機感を抱えているようでした。人気が一過性に終わるのではないかという懸念がある一方で、2030年までにアメリカのアニメ市場が30倍に拡大するという予測もあります。

しかし、配信権料が思うように伸びない場合、収益をどこで確保するかが課題となります。一つの方向性としては、グッズ販売の強化が挙げられます。もう一つの方法として、劇場での公開を増やしていく可能性もあると思われます。

ニッチ市場からマス市場への脱皮

深夜アニメや動画配信のアニメはニッチ向けのコンテンツが多いですが、市場規模の拡大にはマス市場の攻略が必要で、玩具市場などへの広がりが求められます。

一部企業による独占への不満

有力なアニメIPの権利を一部企業が囲い込んでしまったり、自身に有利な取引条件を強要することへの不満の声が聞かれました。独占が進むと、イノベーションの停滞が懸念されます。

まとめと今後の展望

日本のアニメは実は成長産業であり、海外市場での一層の成長を継続できるかが非常に重要です。そのためには、海外でのマーケティングやビジネス展開を現地代理店などに任せっきりにするのではなく、自ら取り組み、ノウハウを蓄積していくことが重要です。

フラッグでは、ロサンゼルスの現地子会社Flag Picturesを通して、アニメコンテンツの海外での展開を強力にサポートしていきます。海外展開に課題や悩みを抱えてらっしゃるアニメ・コンテンツ業界のみなさま、お気軽にご相談いただければと思います。

久保 浩章

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